星の約束
「…来ないね」
「…そうですね」
約束の場所に、時間通りに来た私と聖は、
時間になってもやってこない先輩を身を震わせながら待っていた。
あんなに緊張していたはずなのに、着いてみれば先輩はいない。
私は一気に冬の寒さを体感する。
「先輩が提案したのに、あんまりだね」
「うーん、でも水谷先輩が時間を守ったことなかったから、予想はしてたけど…
遅いですね」
体を縮め、聖と話して寒さを紛らわそうとしたが、
寒いものは寒いわけで、私の口からは白い息が吐き出された。
「大丈夫ですか、先輩」
「え?」
「いや、かなり寒そうだから。
あ、そうだ、これあげますよ」
そう言って聖はポケットの中をごそごそと探る。
そして私の前に差し出されたのは、ホッカイロだった。
「あ、ありがとう」
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