星の約束

口ごもった聖が気になったが、

「ほら、先輩、本来の目的の星見ましょうよ」

と言ったので、私は空を見上げた。

澄んだ空気が肌寒く感じるが、星はきらきらときれいだ。


「オリオン座発見!」


聖が嬉しそうに言い、空を指差す。


「俺、実を言うと、オリオン座しか分からないんですよね」

「天体観測部失格だね」


笑いを含んだ返事をすると、聖は苦笑いする。


「あっちにあるのが北斗七星で、それからあれが、カシオペア座」


追って指差しながら星座の名前を口に出すと、聖は「へぇー」と感嘆の声を漏らす。


.
< 37 / 40 >

この作品をシェア

pagetop