星の約束


「今、何考えてました?」


物思いに耽っていたところに、聖に話しかけられた。

え、と小さく動くと、


「ぼーっとしてたから、」


と聖が言う。


「うん、ちょっと昔のこと思い出してた」


先輩の顔を思い浮かべながら、私は少し目を細めた。

頬が自然にゆるむのだ。


「昔のこと?」

「そう、昔のこと。
上村くんが去年のこと言い出すから」

「今年も行きましょうよ、楽しいと思うし」


少しだけ考えてから、首を縦に振れば、彼は嬉しそうに顔をほころばせた。

そんなに嬉しいのかと怪訝な顔をすると、それを察したのか聖は眉をひそめる。

そして、


「約束ですよ、当日になってやっぱりやめた、とかなしですから」


と小指を出してきた。

私は渋々、自分のそれを彼のに絡め、約束をした。


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