星の約束


「こんにちはー」


いつものように好きな本を広げて読んでいたときだ。

この部室に入ってくるのは、私と、先輩と、
あとは入部届を持ってくる1年生だけ。

そう思って顔をあげれば、そこにいたのは少しだけ見覚えのある顔があった。

記憶の糸を手繰れば、思い出すのは入部届を出した男の子だ。


「えっと、」

「あれ、覚えてません?
俺、この前入部届出したんですけど。
上村、聖」

「上村くん、」

「はい、」

「この部が幽霊部員のたまり場だって、知ってるよね?」

「知ってるけど、それがどうかしましたか」


新入部員はみんな、幽霊部員になるものだと思っていたから、
何も準備していない。

どうしようかと頭をひねると、聖は笑った。


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