コンビニ王子
息子がニヤニヤしながら私と王子のことを見ては、箸を進める。


「どうしたの?なんかおかしい?」

私が聞くと、とびきりの笑顔でこう言った。


「ママ、お兄ちゃんてパパみたいだ。僕、お兄ちゃんがパパなら良いな。」


「え、な、なに言ってるのー。」


私は慌てて、何を言っていいかわからない。王子が笑って言う。


「あはは、そんなにママとお似合いかな?」


「違うよー、ボクとお似合いなの。ママはボクのママなの。」


「もう、何言ってるかわかんない。早く食べなさい。」


汗かきまくり、あーどうしよう。
私のことを見て、王子はこう言った。


「子供って可愛いよね、素直でさ…。君は偉いと思うよ、一人で育てて。僕も見習わないとね。でもさ、大変な時は相談してよ。大した事できないけど、少しは力になるし。一人で悩むなよ。」


王子はそう言うと、息子のほうをむいた。


「さあ、ゲームで遊ぼう。」


「わーい、やったー。」


息子は喜んで、テレビの前にとんで行った。
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