君が好きだというならば~episode1~
サクサクという足音に再び目を開ける。
あいつらか……?くそっ!もう見つかったか!?
すぐに体を起こして身構える。
しかしその心配は杞憂に終わり、
そこからひょいと現れたのは、白い衣に全身を包んだ老人。
………………。
えっと……。
どう反応したものか、目の前にいるのは
仙人ともいえる風貌をした人物であった。
白い髪は足先までのびていて、
眉毛は目を隠すほど、ひげは口を隠すほどまでに伸びている。
なんっていうか…………さっきまでの緊張感がなくなったな………。
目の前の人物に一気に脱力していると――
「おぬし、何者じゃ。」
白髪の老人が先に口を開いた。
その声は見た目に反して、よく通る声をしている。
顔の表情は伸びきっているそれのせいで、なかなかに読み取りにくい。
しかし、その声にはわずかに警戒の色がうかがえた。
その言葉に何と答えようか迷っていると…
「…人間……………………ではないな…」