君が好きだというならば~episode1~
雰囲気は、先程よりおだやかなものになったと思う。
老人からはオーラのようなものが漂っていて、
それが先程の言葉に嘘がないことを証明してるようだ。
この人は、信じてもいいだろうか……
信じても大丈夫なのだろうか…?…
人を信じることを、過去の出来事で負った傷が邪魔をする。
目を閉じれば、あの嫌な思い出が浮かんでくる。
老人は、あれからひとことも言葉を発しない。
しかし、彼の穏やかな視線が自分に向けられていることに、気づいていた。
痛みを繰り返し感じ、傷つくのを恐れ、背を向けて逃げ続けていた日々。
少年は、
再び立ち止まり、振り返る決意をする。
「俺の名は……カイ。……カイ・ジャンクソン…」