君が好きだというならば~episode1~
第3章 偶然かそれとも必然か
隣国の王子
辺りが薄くなりはじめ、城下の明かりがはっきりと見え始めるころ
城内の一室では…
「イヤぁっーー
セクハラよ、離しなさい!」
「ん~若菜ぁ」
ゴロゴロ甘えた声を出してスリスリと頬擦りしてくる少年と嫌な顔で身を捩る姫。
「離しなさいって言ってるでしょ!?」
「何でぇ?」
「何でって…急に抱きついてこないでよ!」
「だって久しぶりの再会だよ?
若菜は嬉しくないの?」
私の拒否し続ける態度に、シュンとして抱きついていた腕を緩めた。
おまけにうるうるとした瞳で顔を覗き込まれ
うっ………その顔に弱いんだってばぁ
どぎまぎしながら
ちょっと悪いことしたかな?
なんて考えてしまう自分
「べ、別に嬉しくないわけじゃないわよ?」
「本当?」
「本当」
なんとか笑顔を作る私。
私の言葉を聞いた瞬間、彼の顔はパァと輝き出した。
「んもぅ、可愛いなぁ!若菜はー」
さっきまでの落ち込みはどこへやら。
再びムギューと抱き締めてきて頬擦りしてくる。
その後、同じ言い合いが再び起こったのは言うまでもない。