君が好きだというならば~episode1~
余りにも変わってしまった態度についていけなかった私だったけど
耳元に、湿っぽいざらついた感触を覚えて我を取り戻した。
「キャーー―ッ!!」
「――姫様っ!?」
かなりの大声に、侍女達が慌てて部屋に入って来た。
「何だ、ユウ様とご一緒でしたのね。侵入者か何かかと…。」
私がユウと一緒にいるのを確認して、明らかにほっとする面々。
いゃ、侵入者より絶対ユウのほうが質が悪いわよ!
我を取り戻し、ソファーから立ち上がってユウとの距離を一気にあけた。
そんな私を見てクスクス笑うヤツが一人。
「すみません、何だかお騒がせしてしまったみたいで。」
でも大丈夫ですよ、少し怖い話をしていただけなので。
そう言ってお得意の爽やかな笑顔を侍女達に向ける。
中には顔を赤くするほど、彼の笑顔にやられてしまったのが何人かいるらしい…
詐欺だ…
これは詐欺よね!?
昔から、周りに見せる態度と私に見せる態度が違っているのは知っているけど…
一人悶々としていると、今になってマシューがやってきた。