君が好きだというならば~episode1~
「何の騒ぎですか。
まぁ、姫様!まだドレスを着けられたままですか!
明日も朝は早いのですよ。早く脱がして差し上げて、それから誰か湯を沸かしてお風呂の準備を!」
マシューの指示でその場に突っ立っていた侍女達は慌ただしく動き始めた。
「ユウ王子。いつまでここにいらっしゃるのですか?
もう時刻は深夜を迎えます。
今宵はここでお引き取りくださいまし。来賓の方々のご寝所も用意されております。」
ソファーで寛いでいたユウにマシューの厳しい視線がいく。
「僕は――」
「姫様も今日は今までにない疲れを見せていらっしゃいます。
どうか、今日はここでお引き取りを。
それに、王子についている侍女達が今も貴方様を探しておいでです。」
ユウの言葉を遮り、強い口調で被せるマシュー。
この城のお付きの者でユウ相手に物を言えるのはマシューくらいだわ。
二人が言葉を交わして(?)いるのを見つめながら
私はマシューに、これほどまでにないくらい感謝の気持ちを感じた。
とにかく、今は何とかあの怪しい雰囲気を避けれたみたい…
「姫様、それでわこちらにいらしてください。」
侍女に声をかけられて、歩き出した私の耳に―――