君が好きだというならば~episode1~


カタン


木造の家のドアを引いて一歩外に出る。


一気に外気の冷たさが体を包み、熱を奪おうと躍起になっているようだ。




シュントクさんが着替えを渡してくれなかったら、今頃は震え上がっていただろうな。





火照った体には、シンシンとした冷たさが心地良かった。




すぐ側にある湖まで歩いていき、そこにあった岩に腰かける。




昼間には透き通る綺麗な色をしているこの湖でさえ、この時間帯はどす黒い色を映しだしていた。




それでも空に浮かんだ月を映し出してキラキラと表面に反射しているその様は




きれいだ、と俺は思う。





そうして…どのくらい時間がたったんだろう。




金色に光る湖の月の色が




あの子の髪の色と重なった。




そうして、さっきまで見ていた悪夢が再び脳裏に甦る。






早く、会いに行かなきゃと思った。




焦り…なのか、うまく表現できないこの感情をどうしたらいいのか分からない。


誰かが彼女に接近しているのは間違いなかった。




夢で見た、彼女をじわりじわり背後から包む黒い影の持ち主。



そいつに、俺は嫌悪の感情しか沸いてこなかった。




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