君が好きだというならば~episode1~
交流が激しく、多くの人が賑わう東側と南側の街とは対称的に
西側のスラム街は不気味な静けさを帯びている
あまり好ましく思われていないこの街のなかの
さらに好ましく思われていない一族が
スラム街から少し離れた
北側の森の近くに、身を置いていた…
一見、普通の“ヒト”とは何ら変わりのない彼らは、
日常を、ヒトと同じように暮らしている。
人口の多いこの国では
この一族について、様々な噂が流れていた。
その真相を知るのは、一族である“彼ら”と、ほんの一握りの人物だけである。
人々はその噂から
“彼ら”をこう呼んでいた……
“呪われた血族”
と…………――