君が好きだというならば~episode1~
第2章 それぞれの日々

少女の名は…

――…
―――――
「姫ー」
「姫様ぁー」
「どこですかー」
「ひーめぇー」


バタバタ

「見つけた?」

「いえっ、お部屋から逃げ出したのは見かけたのですが…」
「一体、今回はどこに隠れたのやら」
「準備に時間がかかるのに…」

「とにかくもう一度手分けしてお探しして!

特に見落としそうな場所を…

なんせ、この前は掃除用具箱の中にいらっしゃったのだから!」

「「「はい!」」」


バタバタ

―――――――

―――…


場所は変わって、城内。青々とした空が姿を見せ始める頃。

一人の少女が古い扉の中で外の様子を伺っていた。


ふぅ

なんとか撒けたかしら…

全く、今日パーティーがあるなんて知らなかったわ

あんな堅苦しいところ、息が詰まっちゃって大変よ!

姉様も兄様もよくあんなところに出入りできるもんだわ

おめかしも大変だし…

このままパーティーが終わるまで逃げきっちゃえば、出席しなくていいわよね

よし!

気合いを入れて、右左を確認すると、勢いよく走り出した

ガシッ

っと思ったら


「おーまーえーわぁ
なぁにやってんだ!
また皆に迷惑かけて!!」

「に、に兄様!?」

あっけなく捕獲された


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