ぼくと世界とキミ

「……悪いが死んでもらう」

男は冷たくそう言い放つと、雷光で光る黒い大剣をゆっくりと振り上げる。

その剣からはまだついたばかりであろう真っ赤な鮮血が滴り、それはピタンピタンと音を立て冷たい床に落ちて行く。

「どうして……こんな事をする」

今まさに殺される瞬間だと分かっていたが、不思議と恐怖は感じなかった。

……ただ……知りたかった。

この男はなぜ、こんなにも非情になれるのだろうか。

戦う事も逃げる事もせず、ただ真っ直ぐに男を見つめ答えを待つ。

すると男は剣を掲げたまま、小さく口を開いた。

「……俺はやらなくてはならない。大切な友との《約束》を守るために」

そう言った男の瞳が、微かに揺らいだ気がした。
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