ぼくと世界とキミ
男が消えて行った窓を見つめながら、冷たい床に奪われていく体温を感じた。
氷の様に冷たく感じる床に俺の温かな血が溢れる様に流れ、凍える様な寒さと猛烈な眠気が襲ってくる。
その安らかで穏やかな誘いに応える様に……静かに目を閉じた。
……俺は……何もできなかった。
勇者でありながら、何一つ救う事もできずに死んでいく。
……いや……俺は……勇者なんかじゃなかったんだ。
溢れる様に流れる血と共に、温かな《何か》が……頬を伝った。
……何も……救えない。