ぼくと世界とキミ
長い廊下のちょうど真ん中に、一階へと続く階段がある。
兵士はフラフラとよろめきながらも、ゆっくりと慎重に階段を下りて行く。
一段、一段と下りる度に、兵士は苦しそうに呻き声を洩らすが、何とか階段を下り終え、ハァと深いため息を吐いた。
階段を下り切った先には大きな扉が見え、その開かれた扉は微かに開き、そこから激しい雨や風が吹き込んでいる。
一階もやはり無残な肉片と化した死体が到る所に転がり、辺りに生臭い血の香りが漂っていた。
その中を兵士は覚束無い足取りで進んで行く。
外に続く扉の前まで何とか辿り着いたその時、兵士が激しく咳き込んだかと思うと、彼の口から真っ赤な鮮血が溢れる様に流れ出した。
それはとっさに口を覆った彼の手の平を真っ赤に染め、それを見て兵士は困った様に深いため息を吐く。
しかし兵士はそれを無造作に腕で拭うと、大して気にする様子もなく、扉をくぐり激しい嵐の中を進んで行った。