ぼくと世界とキミ
フラフラと宿屋を出て、乗船所に向かって歩く。
ジルとセリアは口を……そして俺は腹を押さえたまま。
宿屋からほんの少し歩いた先に乗船所はあるが、その何て事の無い距離が、今は遥彼方に見える。
「お客さーん!乗るなら早くしてくださーい!!」
そう言って船員がトロトロと歩きながら船に向かってくる俺達を急かす。
「……走るか?」
ジルは青褪めた顔をしたまま、ニヤリと引き攣った笑みを浮かべて問い掛ける。
「……私……無理」
セリアがハァハァと荒い呼吸を繰り返しながら、小さく答えた。
「……お、俺も」
痛む腹部を擦りながら呟くと、ジルはその答えに静かに頷く。
「……だな」
結局、船員の冷たい視線を浴びながら、トロトロと乗船所に向かっていった。