ぼくと世界とキミ
船に乗り込みジルが震える手で三人分の乗船代を払うと、船がゆっくりと動き出した。
フラフラを覚束ない足取りで歩き、何とか空いている席を見つけると、無言のまま崩れる様に席に座る。
……誰も話し出す者はいない。
重い沈黙の中、二人はまるで死人の様にピクリとも動かない。
それにしても……最悪な事がある。
不規則にユラユラと揺れる独特の感覚に、どうしようもない不快感が募る。
湖をゆっくりと進む船に揺られていると……余計に気分が悪くなった。
「……私……もう……ダメかも」
セリアがぐったりと背凭れに背を吐き、天井を見上げたまま擦れた声で呟いた。
「甲板に……出てみるか?風もあるし……少しは……マシだろう?」
震える声でそう提案したジルに促され、覚束無い足取りで……甲板へと向かった。