ぼくと世界とキミ
「……あ、雨」
そのセリアの声につられ窓の外を見ると、いつの間にか雨が降っていた。
ポツポツと断続的に雨が窓ガラスを叩き、それは次第に強く激しくなる。
雨はまるでシャワーの様に降り注ぎ、ついには真っ暗な空に雷が光る様な嵐になった。
「……明日、スカイトレイン走るのかな」
窓からご機嫌斜めの空をボーっと見上げたまま小さく呟く。
「朝には止むんじゃないか?」
ジルが俺の方を見もせずにそう素っ気なく答えたその瞬間、空に一際激しい雷が光った。
そしてバチンという音と共に……部屋の明かりが消えてしまった。
辺りは真っ暗で何も見えない。
窓の外を見るが、町の明かりも消えている様で何も見えない。
……どうやら停電らしい。
「……雷が落ちたのかな」
そう小さく呟いた後……途端に不安になった。
明かりが消えてから、雷は一度も光らない。
異常なくらいに辺りは真っ暗で、何かの輪郭すら見えなかった。
ただ窓の外から静かな雨音だけが聞こえてくる。
……本当にこれはただの停電なのだろうか。
そんな考えが頭に浮かんだその瞬間、部屋のどこかで誰かが動く気配がした。