ぼくと世界とキミ

「カ、カイン様!?」

兵士は突然現れた男の姿を見て驚いた様に声を上げると、慌てて地面に膝をつき深く頭を下げた。

カインと呼ばれた男は穏やかな笑みを浮かべ、ゆっくりと俺達に向かって歩いて来る。

そして男は俺の目の前に立つと、そっと胸に手を当て優しい笑みを浮かべた。

「失礼をお許し下さい。私がメルキア国王……カイン・メルキアです」

「あん……アナタが国王様……ですか?」

そう言って目の前の男をマジマジと見回すと、男は困った様に首を傾げて見せる。

……確かメルキア国王は中年だった様な気がする。

この男はどう見ても……二十歳程度だ。

栗色のサラサラの髪に穏やかな瞳。

白く細い体に、長い手足。

……これまたジルとは違うタイプの《皇子様》だ。

いや……《王様》か。

「前国王は去年亡くなり、私が継ぐ事になったので」

カインはそう言って笑うと、そっと辺りを見回した。

そこには国王の登場に興味シンシンな国民達の、好奇の視線が溢れ返っている。

「ここでは周りの目もありますし……中へどうぞ」

そのカインの言葉に促され、三人で城の中へと入って行った。

< 143 / 347 >

この作品をシェア

pagetop