ぼくと世界とキミ
「カ、カイン様!?」
兵士は突然現れた男の姿を見て驚いた様に声を上げると、慌てて地面に膝をつき深く頭を下げた。
カインと呼ばれた男は穏やかな笑みを浮かべ、ゆっくりと俺達に向かって歩いて来る。
そして男は俺の目の前に立つと、そっと胸に手を当て優しい笑みを浮かべた。
「失礼をお許し下さい。私がメルキア国王……カイン・メルキアです」
「あん……アナタが国王様……ですか?」
そう言って目の前の男をマジマジと見回すと、男は困った様に首を傾げて見せる。
……確かメルキア国王は中年だった様な気がする。
この男はどう見ても……二十歳程度だ。
栗色のサラサラの髪に穏やかな瞳。
白く細い体に、長い手足。
……これまたジルとは違うタイプの《皇子様》だ。
いや……《王様》か。
「前国王は去年亡くなり、私が継ぐ事になったので」
カインはそう言って笑うと、そっと辺りを見回した。
そこには国王の登場に興味シンシンな国民達の、好奇の視線が溢れ返っている。
「ここでは周りの目もありますし……中へどうぞ」
そのカインの言葉に促され、三人で城の中へと入って行った。