ぼくと世界とキミ

カインに連れられ赤い絨毯の敷かれた長い廊下を進む。

……内装はあんまり変わらないな。

いくら最先端の技術や機械を持っていても、城は《ごく普通》のようだった。

てっきり城の中も街と同じ様に、機械だらけのジャングルになっているのかと思っていた。

そんな事を考えキョロキョロと城内を物色しながら歩いていると、急に膝の裏にドンと鈍い衝撃を喰らった。

(……堂々としていろ!偽物かと思われたらどうするんだ!?)

そう小声で怒鳴るジルに、どうやら足を蹴られたらしい。

ジルは少し緊張している様で、さっきからピリピリしている。

……まぁ……自分の国の未来がかかってるもんな。

ジルに向かって小さく頭を下げて気の抜けた笑みを返すと、廊下の突き当たりに大きな扉が見えた。

そのままカインが扉に近付くと、扉の左右に立っている兵士がゆっくりと扉を開く。

その広く静かな部屋の中には、高級そうな絨毯の上にポツンと立派な椅子が置いてある。

要するにいつも王様が座っている……《玉座の間》だ。

「……すみません。私はこの場をあまり離れる事ができないので」

カインはそう言うと立派な椅子にそっと腰を下ろした。
< 144 / 347 >

この作品をシェア

pagetop