ぼくと世界とキミ
カインに連れられ赤い絨毯の敷かれた長い廊下を進む。
……内装はあんまり変わらないな。
いくら最先端の技術や機械を持っていても、城は《ごく普通》のようだった。
てっきり城の中も街と同じ様に、機械だらけのジャングルになっているのかと思っていた。
そんな事を考えキョロキョロと城内を物色しながら歩いていると、急に膝の裏にドンと鈍い衝撃を喰らった。
(……堂々としていろ!偽物かと思われたらどうするんだ!?)
そう小声で怒鳴るジルに、どうやら足を蹴られたらしい。
ジルは少し緊張している様で、さっきからピリピリしている。
……まぁ……自分の国の未来がかかってるもんな。
ジルに向かって小さく頭を下げて気の抜けた笑みを返すと、廊下の突き当たりに大きな扉が見えた。
そのままカインが扉に近付くと、扉の左右に立っている兵士がゆっくりと扉を開く。
その広く静かな部屋の中には、高級そうな絨毯の上にポツンと立派な椅子が置いてある。
要するにいつも王様が座っている……《玉座の間》だ。
「……すみません。私はこの場をあまり離れる事ができないので」
カインはそう言うと立派な椅子にそっと腰を下ろした。