ぼくと世界とキミ
「……ロイ!!」
急呼ばれた名前にビクッと身を竦め振り返ると、部屋の入口にジルとセリアが立っているのが見えた。
「お前は勝手に何をやってるんだ!目を覚ましたら居ないし……探したんだぞ!?」
そう言ってジルは眉を吊り上げたまま小声で怒鳴る。
「ご、ごめん。でもさ……これ見てよ」
そう言って目の前の階段を指差して見せると、二人は驚いた様に目を見開いて階段を見つめた。
「……真っ暗だね」
「……うん。どうする?」
セリアの不安そうな呟きに首を傾げて返すと、一瞬の静寂が広がる。
……こんな所に勝手に入ったら、本当にヤバい事になりそうだ。
ジルもセリアもその事を考えている様で、どうしたもんかと表情を曇らせている。
(……来て)
「……あ、ランプがあるよ」
セリアの声とあの不思議な声が重なる様に聞こえ、そっと階段の先を見つめた。
セリアの指差す先を見ると、そこには小さなオイル式のランプが壁に掛けてあるのが見える。
「さっきから俺を呼ぶ声が聞こえるんだ。……この階段の先から」
そう言って窺う様に二人を見つめると、二人は顔を見合わせ……それから小さく頷いて返した。
「……行こう。こんなのを放っておいたら眠れそうにもないんでね」
そう言ってジルは困った様に笑って小さく息を吐くと、俺にランプを手渡し……先に降りろと俺の背中を小突いた。