ぼくと世界とキミ

《私は罪を犯した》

日記はその一文から始まっていた。

《私は国のための死を恐れ……そして全てを彼女に背負わせた》

声を出して日記を読み続けると、ジルが不思議そうに俺を見つめる。

「お前、メルキア文字が読めるのか?……意外だったな」

そう言ってジルは少し目を丸くして、首を傾げて見せた。

……そう言えば何で読めるんだ?

……昔、習ったっけ?

いや、俺が大人しく《お勉強》を受けるとも思えない。

……ましてや《メルキア文字》なんて、全く俺に関係無さそうな分野だし。

「……続けて」

そんな事を考えているとセリアが小さく呟き、その考えは中断してまた日記を読み始める。

《全てを隠して私は今、生きている。しかし私達はこの先のメルキアの運命すらも変えてしまったのかもしれない。私は罪に濡れながら……》

そこから先は擦れてしまって読めない。

ぺラッとページを捲ってみるが、次のページは白紙で何も書かれていなかった。

パラパラとページを遡(さかのぼ)ってみるが、特に重要そうな事は書かれていなさそうだった。
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