ぼくと世界とキミ

「……ハズレか。何かあると思ったんだけどな」

そう言ってパタンと本を閉じたその時、不意に目の前の《本》が気になった。

その本は本棚に並んでいる本の中で……やけに薄っぺらい。

そっと手を伸ばしその本を手に取ると……それはどうやら《絵本》の様だった。

しかも他の本に比べて比較的新しそうだ。

「二つの……腕輪?」

それがこの絵本のタイトルの様だった。

表紙には幼い少女と少年が手を繋ぎ、その二人の腕に赤い宝石のついた美しい腕輪が嵌められている。

《……ある国に双子の兄妹がいました》

絵本を開くと、書かれている文字を読み上げる。
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