ぼくと世界とキミ

《二人の生まれた国では森からやってくる恐ろしい魔物に襲われ、沢山の人達が死んでいました。

二人の両親も魔物に殺され、兄妹は二人きりになりました。

二人は国を守るため……たった二人で魔物を統べる【森の王】に会いに行きました。

その森は【迷いの森】と呼ばれる、怖ろしい魔物達が住む森でした。

二人は何日も森を彷徨い続けましたが、【森の王】は見つかりません。

お腹が空き歩く事も出来ない程に疲れ果て、もうダメだと諦めかけたその時でした。

二人の目の前に……大きな【ドラゴン】が姿を現しました》

……迷いの森。

……ドラゴン。

その知っている単語に思わずゴクリ息を呑む。

《『人間が何をしに森へ来た。わざわざ殺されにやってきたのか?』とドラゴンが笑います。

『貴方が森の王様ですか?』と二人が聞くと、『いかにも』とドラゴンは頷きました。

『どうかお願いです。私達の国を襲わないで下さい』と二人が頼むとドラゴンは少し考えてこう言いました。

『魔物をどうにかする事はできない。だが、たった二人でこの森に来た勇気を称え、国を助ける【力】をやろう。

でもその代りに……お前達のどちらかの命を貰う』》

ただ何も考えずに絵本を読み続けた。
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