ぼくと世界とキミ

(かつて国のために死ぬ事を恐れた兄の代わりに、妹がたった一人でメルキアの宿命を背負った。兄はそれを深く後悔し、しかし何もできずにその罪を消し去るため、彼女の存在をこの地下に隠した。そこから《歪み》が生まれてしまった)

……女ばかりが宿命を背負う事になった……って事か。

(でもこれで……メルキアの歪みは消えた)

(……やっと……眠れるね)

そう言って二人は優しく笑ってそっと手を繋ぐと……淡い光となって消えていく。

(ありがとう……勇者様)

その囁きと共に二人は淡い光に姿を変え、そしてその淡い光は抱き合う兄妹を優しく照らすと、空気に溶けるかの様に見えなくなった。
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