ぼくと世界とキミ
「……じ、地震!?」
慌ててセリアを庇いながら駅の構内に戻り柱にしがみ付くと、同じ様にジルがアシュリーを庇いながら構内に入ってきた。
その他の乗客たちも慌てて構内へと戻り、必死に壁や手すりに掴まっている。
それから激しい揺れは数十秒続くと……ゆっくりと納まっていった。
「皆、怪我はないか!?」
そう声を掛けると皆は小さく頷いてし、それに安堵しホッと胸を撫で下ろす。
暫くその場に留まり安全を確認すると、フラフラと駅の外へと出た。
するとあんなに空を覆い尽くしていた黒い雲が晴れ、空には太陽が燦々と輝き……あの雪の姿も見えない。
まるでさっきのは幻だったのではないかと思う程に、空模様は変わっていた。
「一体……なんなんだ」
そう声を震わせ辺りを見回すと、町の建物が無残にも崩れている。
ガラガラと未だ崩壊を続ける建物の崩れる音や、怪我人がいる様で至る所から悲鳴や泣き声が聞こえてきた。
「もう……時間が無い」
茫然と目の前の光景を見つめる俺の横で、セリアは小さく呟き、ギュッと拳を握り締めた。
そう……世界が《崩壊》に向かっているのだ。
この世界に残された時間は少ない。
セリアと同じ様に強く拳を握り締めたまま、目の前の残酷な現実を見つめる。
深い絶望を纏った人々の悲痛な叫びの中、俺はこの時初めて……世界が崩壊に向かっている事実を理解できた様な気がした。