ぼくと世界とキミ
窓から外を見ると、また空が黒い雲に覆われていくのが見えた。
あれから異常気象が続き、雪が降ったかと思えば、一時間後には気温が四十度を超えるほど暑くなったりした。
……マナ。
どこに居るのだろうか。
もしかしたらマナが、これから起こる《争い》に反応しているのかもしれない。
大きな争いが起こり、そして沢山の人が死ぬ。
《敵》を殺し、《仲間》を殺され、また殺し……そんな悲しい輪廻を紡ぎながら殺し合う。
……戦争とはそういうモノだ。
それはきっと、マナを更に狂わせる事になるだろう。
……でも……止める事はできない。
戦わなければこのフリーディアはグレノアの手に落ちる。
それを見過ごすわけにはいかない。
……俺達はこの国を守る為に戦わなければならない。
「……くそっ!!」
そう声を漏らし、思いっきり壁を拳で殴り付けた。
ジンジンと拳が痛み、その痛みは無力な俺を嘲笑うかの様に響き続ける。
……結局何もできないじゃないか。
マナを見つける事も、争いを止める事も……俺にはできない。
……何も変わっていない。
……無力なまま流されるだけ。
「……畜生!!」
ガンガンと繰り返し壁を殴った。
拳が割れ血が滲み、それは白い壁を赤く染めて行く。