ぼくと世界とキミ
「……ノ……ヴァ?」
擦れ震える声でその少年の名を呼ぶと、彼はヒラヒラとこちらに向かって手を振って見せた。
目の前に……スカイトレインで出会った《少年》が居る。
突如として現れたその少年に、セリアも驚いた様に声を失っていた。
「また会えたね……ロイ?」
そう言ってノヴァは無邪気な笑顔を浮かべる。
「ど、どうして……お前が」
困惑したまま喉を詰まらせると、ノヴァはそんな俺の姿を見てケラケラと可笑しそうに笑った。
「僕、ロイ達の《敵》なんだよね。この前言い忘れちゃって……ごめんね?」
そう言ってニッコリと笑ったノヴァの笑顔が……とても不気味に見えた。
ドクドクと心臓は早鐘の様に鼓動を打ち、緊張のせいか微かに息が荒くなる。
「結界なんて面倒な事してくれるね?そのせいでメルキア襲うの後からにしたって言うのにさ~」
ノヴァはそう言うと拗ねる様に口を尖らせ、おどけた様に肩を竦めて見せた。
そんな彼の姿を見つめたまま、どこかから響いて来る誰かの叫びに強く拳を握り締める。