ぼくと世界とキミ
起きてから二時間位は歩いているが、村らしい影は全く見えない。
「喉乾いた~!腹減った~!!」
力尽き、崩れる様にドサッと地面に座り込む。
村を出る時に貰った水はすぐに飲みきってしまった。
辺りには小さな川や泉どころか、水溜まりさえ見当たらない。
……このまま死んだりして。
……ん?
諦めかけたその時、地平線の彼方に何かの影が見えた。
その影を確かめる様に、フラフラと立ち上がると、その影へと向かって歩いて行く。
歩みを続けるにつれて、徐々に影の形がハッキリと見えて来た。
そして目にした影の正体に、無意識に笑みが零れる。
「……村だ!!」
そう叫ぶと、一人きりの草原でグッとガッツポーズを決めた。
……確かに村があった。
四方を灰色の壁で囲った小さな村。
途端に元気になり、その村に向かって走り出す。
「……みずっ!……メシッ!!」
足を前に踏み出す度に、ドンドンと村が近くなる。
走り続けると息が上がり呼吸が苦しくなるが、そんな事には構わずに走り続けた。