ぼくと世界とキミ
「どうしてお前達はこんな事が出来る。何でそんな簡単に人が殺せるんだよ!!」
その俺の叫びにノヴァは笑う事を止め、小さく首を傾げて見せた。
「……どうして?そんなの決まってるじゃないか……《人間だから》だよ!!」
ノヴァはそう声を荒げると、鋭い瞳で俺を睨みつける。
「お前だって人間じゃないか!!何も感じないのかよ!!」
その俺の言葉にノヴァは呆れた様に吐息を漏らすと、クスリと嘲笑を浮かべた。
「ホント……人間って勝手だよね。僕は人間でいる事を恥じているんだ」
「……何が言いたい」
クスクスと嘲笑うノヴァの呟きに眉を顰めたまま答えを待つ。
「どうして人間は殺しちゃいけないの?人間だって魔物を殺すじゃないか。どうして魔物を殺すのは良くて……人間を殺すのは駄目なの?」
ノヴァはそう言うと、赤い瞳を妖しく揺らし、俺を真っ直ぐに見つめた。
「ロイだって魔物を殺すでしょ?その殺された魔物にだって心はあるし……家族だっているんだよ?」
「……それは」
言葉が……上手く出てこない。
小さく口を開いたまま、何の答えも見つからず、ノヴァを見つめたまま強く拳を握り締める。
そんな俺の姿を見てノヴァはまたクスリと吐息を漏らすと、そっと空を仰いだ。
「ルークはね……この世界を変えようとしているんだ。人間のいない……穏やかな世界に」
空を仰いだままノヴァはそっと目を閉じ、小さく呟く。
「だから……ロイ達が邪魔なんだよ」
そう言ったノヴァの体から、禍々しい赤いオーラが立ち上り始めた。
赤く揺らめく禍々しい光は、ノヴァの右手に集まり……そして《何か》を形作る。
……それは《鎌》だった。
ノヴァの体の倍はある……大きな黒い《鎌》