ぼくと世界とキミ
それから何日も町をあてもなく彷徨い歩いた。
こんな時でさえ腹は減り、喉は渇く。
ゴミの中から食べれる物を探す生活が何日も続いた。
ある日、夜中にゴミをあさっていると、後ろに誰かの気配を感じた。
「……てめぇか!!ゴミあさってるガキってのは!!」
その怒声にビクリと身を竦め恐る恐る後ろを振り向くと、そこには太い棒を片手に振り上げた男が立っている。
男は振り向いた僕の顔をマジマジと見ると、それから驚いた様に目を見開いた。
「お前……ノヴァか!?」
そう驚いた様に声を上げた男をよく見ると、それが前に働いていた仕事場の男だと気付いた。
……あの洗い場の見張り人。
フラフラと町の中を渡り歩いている内に、いつの間にか元の場所に戻ってきてしまったらしい。
「お前をやめさせたこと、少し後悔してたところなんだよ。なんせ……思いっきり殴れる奴がいなくなっちまったからな」
そう言って男は身の毛も弥立つ様な不気味な微笑みを浮かべると、掲げていた棒を僕に向かって思いっきり振り下ろした。
振り下ろされた棒を慌てて右腕で受けると、凄まじい痛みが腕に走る。
ジンジンと痺れる腕を押さえたまま、驚愕の瞳で男を見上げると男はまた高々と棒を振り上げた。
今度は構える隙も無いまま、僕の体目掛けてそれは振り下ろされる。
小さく丸まりながら、無慈悲な暴力を受け続ける。
男の顔は弱いモノを支配する喜びで満ち溢れていた。
日頃の鬱憤を晴らすかの様に、男の攻撃が止まる事は無い。