ぼくと世界とキミ
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「……ごめん……ね……フィ……ロ」
胸に抱えているノヴァはそう言って謝ると、私の腕にそっと手を触れた。
カタカタと小刻みに震える小さな手を握り返すと、首を横に振って答える。
「……僕は……迷ったり……しない……から。……フィロ達が……笑って暮らせる……世界を……創って……みせ……る……から」
ノヴァはそう言って力無く笑うと、私と同じ《赤い瞳》を切なく揺らした。
「……ねぇ?……僕は……人間だから……新しい……世界には……生きられ……ないけど……」
ノヴァの赤い瞳が私を真っ直ぐに見つめ、それに小さく首を傾げて見せる。
するとノヴァは静かに目を閉じ、それから微かに唇を震わせた。
「……全部……終わったら……僕は……フィロに……殺され……たい……な」
それだけ言うとノヴァは意識を失った。
温かな布団の中で夢を見ているのがとても似合いそうなその幼い顔を見つめたまま、キュッと唇を噛み締める。
……私は間違えているのだろうか。
こんな小さな子供に……《力》など与えて。
もしかしたら取り返しのつかない過ちを犯しているのかもしれない。