ぼくと世界とキミ
部屋に入ると床に置かれたままの蝋燭にマッチで火を点けた。
その淡い光が薄暗い部屋を照らし出し、部屋の中の様子が見える。
千年以上前の家具やボロボロのベッドは未だにその原型を留めていた。
流石にベッドに寝る気にはなれなかったが、室内は比較的綺麗でここに居る間の俺の部屋にと勝手に決めた。
簡単に掃除をしたが未だ埃っぽい室内の空気に軽く噎せ、閉じられていた窓を大きく開けると、目の前の大きな影を見上げる。
この部屋の窓の目の前には世界樹が立っていて、そのせいで日差しが届かないこの部屋は日中でもかなり薄暗い。
部屋の隅にはフリーディアを出る時に持ってきた寝袋と、鞄代わりの布袋が一つ置いてある。
その袋からナイフと…フリーディアで買ってきたクリスタルの欠片を取り出すと、淡い蝋燭の光の元でそれを黙々を削り出す。
……最近、セリアの元気がない。
マナの事が関係しているのか……笑わなくなった。
いつもどこか遠くを見つめたままボーっとしていて、話しかけても生返事を返し、何となく話しかけるタイミングを失ってしまっていた。
《プレゼントでもやったらどうだ?》
そんな俺達の様子を心配したのか、ジルからこれまた意外な助言を貰ってしまった。
そんな単純じゃ……と思ったけれど、結局こうしてコソコソとプレゼントを用意している。
元々手先は割と器用で、それから二時間程掛けてついに目的の物が出来あがった。