ぼくと世界とキミ
出来あがった精一杯のプレゼントを握り締めセリアの部屋に向かう。
セリアやジル達も俺と同じ様にそれぞれの部屋を勝手に決めてそこで時間を潰していた。
セリアの部屋の前に立ち、大きく深呼吸をしてから思い切って扉をノックする。
コンコンと木製の扉を叩く音が辺りに響くが……返事が無い。
もう一度ノックをするがやはり返事は無く、暫く考えた末にそっとドアノブに手を掛けた。
そしてゆっくりと扉を開けると……そこには誰も居なかった。
そのままジルの部屋へと向かうとノックもせずに勢いよく扉を開く。
「なぁジル、セリア知らないか?」
そう問いかけながらジルの部屋の扉を開けると、ジルとアシュリーが仲良く紅茶を飲んでいる姿が見えた。
二人は窓際に元々部屋に置かれていた小さなテーブルを寄せ、向かい合ったまま優雅に紅茶を啜っている。
……わざわざティーセットを持って来たのか。
少し呆れた様に引き攣った笑みを浮かべ二人を見つめていると、ジルはコトンと持っていたカップを皿に置き俺を振り向いた。
「……セリア?そう言えば散歩に行くって言っていたな。その辺に居るんじゃ……」
「ありがとう!」
ジルの言葉を聞き終わる前に礼を言うと、そのまま小走りで城の外へと向かって行った。