ぼくと世界とキミ
*
「……どうなるんだろうな」
その俺の呟きにアシュリーは何も答えず、静かに紅茶を啜っている。
「俺は今頃分かってしまった気がする。いや、ずっとおかしいとは思っていたんだ。やはりセリアは……」
「ロイ様に……教えて差し上げないのですか?」
俺の言葉を遮りアシュリーはカップを口元に当てたまま呟くと、窺う様な瞳を俺に向けた。
「言えるわけがないだろう」
そう言って自嘲気味に笑うと、そのままカップの紅茶を飲み乾した。
「……そうですね」
アシュリーはそう呟くと、微かに吐息を漏らし悲しそうに瞳を揺らした。
何故《世界》は……《運命》とは、こんなにも残酷なモノなのだろうか。
何も知らない勇者のあまりにも残酷過ぎる《運命》
セリアはきっとそれを……全てを知っている。
しかしその事を俺はロイには伝えられない。
守らなければならない沢山のモノの為に……俺はロイに真実を伝えるワケにはいかない。
「……最低だな」
そう小さく呟き窓から外を見ると……世界樹がまるで泣いている様に悲しそうに揺れている姿が見えた。