ぼくと世界とキミ

それから暫く長い沈黙が続いた。

雨の吹き荒れる中、声を出す者も……剣を手にする者もいない。

そんな彼等を真っ直ぐに見つめたまま、ゴクリと息を呑む。

「俺を……信じてくれ」

兵士達を見渡す様に端から端へと、ゆっくりと視線を移していく。

「俺が必ず世界を救って見せる。だから今だけは……俺を信じてついてきてくれ!!」

その言葉と共に皆の答えを待つ。

重い静寂の中、答えを待ち続けるが、誰も動き出さない。

……やはり甘い考えだったのだろうか。

グレノア兵達にだって守りたい家族や故郷がある。

そんな彼等を説得しようだなんて、甘過ぎる考えだったのかもしれない。

でもこのままでは更に多くの人々が争い、そしてマナは更に狂い世界は崩壊する。

グレノアか、俺達か、どちらが争いに勝ったとしても……世界は崩壊へと真っ逆様に堕ちていく。

……それだけは絶対にダメだ。

そんな事を考えそっと目を閉じた……その時だった。
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