ぼくと世界とキミ
「知りたければ……ついて来い」
青年はそう言うとクルッと背を向け、村の出口に向かって歩き始めた。
「……はぁ?」
いきなりの展開に頭がついていかず、思わず気の抜けた声を漏らす。
「ついて来いと言っている。危害は加えない」
青年は振り返りそう言うと、早くしろとばかりに小さく手招きをする。
……物凄く怪しい。
しかもさっきから……小馬鹿にされている様な気がする。
「素性の知れない奴について行くわけないだろ!アンタ……グレノアの……」
……追手なのかと聞こうとしたその時。
『ぎゅるるるる~』
その俺の情けない腹の音が辺りに響いた。
……こ、こんな時に。
思わず脱力し引き攣った笑みを浮かべると、男は片眉を吊り上げて小さくため息を吐く。
「腹が減っているのか?少し位なら水も食料も残っている筈だ」
青年は少し呆れた顔をして、元は倉庫だったらしい建物を指差した。
その瞬間、そこに向かって走り出す。