ぼくと世界とキミ

「知りたければ……ついて来い」

青年はそう言うとクルッと背を向け、村の出口に向かって歩き始めた。

「……はぁ?」

いきなりの展開に頭がついていかず、思わず気の抜けた声を漏らす。

「ついて来いと言っている。危害は加えない」

青年は振り返りそう言うと、早くしろとばかりに小さく手招きをする。

……物凄く怪しい。

しかもさっきから……小馬鹿にされている様な気がする。

「素性の知れない奴について行くわけないだろ!アンタ……グレノアの……」

……追手なのかと聞こうとしたその時。

『ぎゅるるるる~』

その俺の情けない腹の音が辺りに響いた。

……こ、こんな時に。

思わず脱力し引き攣った笑みを浮かべると、男は片眉を吊り上げて小さくため息を吐く。

「腹が減っているのか?少し位なら水も食料も残っている筈だ」

青年は少し呆れた顔をして、元は倉庫だったらしい建物を指差した。

その瞬間、そこに向かって走り出す。
< 26 / 347 >

この作品をシェア

pagetop