ぼくと世界とキミ
勢いよく少し歪んだ扉を蹴り破ると、そのまま倉庫の中へと足を踏み入れる。
倉庫は屋根こそ崩れていたが、中の食料は無事の様だ。
倉庫の端に積まれていた木箱の中にはリンゴが入っていた。
その隣の樽には……まぁなんとか飲めそうな水が溜められている。
水を両手で掬い口に運びゴクゴクと喉を鳴らして飲み乾すと、カラカラに乾いて痛いほどだった喉が潤っていく。
「……ぷはぁ」
大きく息を吸って満面の笑みを浮かべると、続いて真っ赤なリンゴを頬張る。
ガリっとリンゴを齧ると、甘酸っぱい果実の味が口の中に広がった。
……美味い!
……なんて美味いんだ!!
夢中でリンゴを頬張っていると、不意に真後ろに人の気配を感じる。
リンゴを齧りながら後ろを振り向くと、そこには……青年が不敵な笑みを浮かべて立っていた。
「……美味いか?」
青年は少し意地の悪そうな笑みを浮かべて、俺にそう問い掛ける。
リンゴを頬張ったまま首を傾げるが……すぐに嫌な予感がした。
「……まさか……毒とか……?」
そう言って引き攣った笑みを浮かべると、青年はニヤリと妖艶な笑みを浮かべて首を傾げた。
「ついてくれば分かるさ」
……こうして俺はこの男について行く事になってしまった。