ぼくと世界とキミ

    *

……マナ。

……マナが傍に居る。

マナを感じる方へと、全力疾走で森の中を走り続ける。

ドクドクと高鳴る胸の鼓動を聞きながら、ただ何も考えずに足を動かし続けた。

それから深い茂みを抜け木々を避けて走り続けると、急に視界が広がった。

そしてそこに見えた最悪な光景に……声を失ったまま茫然と立ち尽くす。

「殺せ!殺せ!!こいつはかなりの金になるぜ!!」

そう声を上げ銃を手にした男がニヤリと加虐の笑みを浮かべる。

そっと辺りを見回すと数人の男達が銃を片手に笑っている姿が見えた。

それから白く丸い体をカタカタと震わせ逃げ惑う……マモン達の姿。

どうやらここはマモンの巣だったらしい。

男達は不快な笑みを浮かべたまま。逃げ惑うマモン達に向けて銃を放つ。

その度に悲痛な叫びと赤い血飛沫が辺りに舞った。

目の前には数え切れないほどのマモンの死骸が転がっている。

その中の死骸に震えながら寄り添う、小さな姿を見つけた。

それは昼間に出会った……あの子供のマモンだった。

死んだ母親に寄り添い、怯える様に小さな体を震わせている。

そしてそのマモンに……ゆっくりと男が銃を向けるのが見えた。

そのシーンは気の狂いそうな程に昔に見えた光景と全く一緒で、それは私に残酷な終わりの時を告げる。
< 297 / 347 >

この作品をシェア

pagetop