ぼくと世界とキミ

「やめてーーーー!!」

悲鳴の様な叫びを上げたその瞬間、銃を構えた男の体が激しい炎に包まれた。

燃え盛る紅蓮の業火が男の体を包み込み、それは瞬く間に男の全てを焼き尽くしていく。

燃える男の姿を見た他の男達は大きく目を見開き、蜘蛛の子を散らす様に逃げて行った。

炎に包まれた男は苦しそうにフラフラと数歩歩くと……そのままドサッと地面に崩れ落ちた。

茫然と炎を纏う男の姿を見つめる。

……わたし……いま……なにを……した……の?

その答えは私にも分かっていた。

そうこれは私が生まれて《見た》光景と全く一緒。

それならば次に現れるのは……

そんな事を考えたその次の瞬間、誰かの足音が迫って来る音が聞こえた。
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