ぼくと世界とキミ
「……なぁ」
「……何だ?」
俺の事などお構い無しにスタスタと早足で歩く青年を呼び止めると、青年は歩く足は止めずに、少し速度を落として俺を振り返った。
「行くって……どこに行くんだ?俺さ、行かなきゃいけない所が……」
「フリーディアに向かう。お前もそのつもりだったんじゃないのか?」
俺の言葉を遮ってそう答えると、青年はまたお得意の不敵な笑みを浮かべた。
「……どうして知ってんだよ」
そう呟き小さく舌打ちをすると、青年は馬鹿にした様なムカつく笑みを浮かべる。
……コイツの言うとおりだった。
当初の予定では隣村で馬を借りて、それから真っ直ぐにフリーディアに向かうはずだった。
まぁ、なぜか村は見つからずに、今に至るわけだが……
「ついてくれば分かる」
「またそれかよ!?」
青年の答えに呆れた様に声を漏らすと、ガックリと肩を落とした。
コイツに何を尋ねても、返ってくるのはお決まりの一言。
「……はぁ」
大きな溜息を吐くと、今考える事は諦め……大人しく青年の後をついていく事にした。