ぼくと世界とキミ
「貴方はセリア様に世界を壊させたいのですか!!」
そのセレスの怒声に、俯く顔をそっと上げた。
……泣いていた。
セレスの瞳からポロポロと涙が零れていく。
「誰だってこんな結末など望んでいないのです。でも運命は変えられない。セリア様が世界を……人間を創り出した時からこの結末は決まっていた」
セレスは泣きながらも、強い眼差しを真っ直ぐに俺に向ける。
それから目を逸らす事も出来ず茫然とセレスを見つめ続ける。
「セリア様は貴方を待っている。貴方の手で消える最後の時を待っているのです!!」
そのセレスの言葉と共に、セリアの声が頭の中に響いた。
(ロイ……待ってる)
セリアが最後に呟いた言葉が、何度も何度も繰り返し頭の中を廻り続ける。
しかし今の俺にはどうする事も出来ず、ただその愛しい彼女の声から逃れる様に耳を塞ぐ。
「……行きなさい。これから世界は崩壊へと向かう。最後の《封印》を」
セレスのその言葉と共に辺りが眩く光り、俺達の体が元の世界へと戻されて行く。
次第にぼやけ消えて行く白い世界と共に、セレスの悲しくそして優しい瞳と目が合う。
「どうか……強く生きて」
セレスの消えてしまいそうな呟きと共に、圧倒的な白い光以外……何も見えなくなった。