ぼくと世界とキミ
第三十四話 涙
黙々と薄暗い森を歩き続ける。
話し出す者は誰も居ない。
俯いたまま歩き続ける俺の後ろを、ジルとアシュリーが俺の様子を伺う様に付いて来る。
それを無視して、無言のまま真っ直ぐにグレノア城を目指す。
……何も考えていなかった。
……いや、何も考えたくなかった。
何が正しくて何が間違っているなどと、考える余裕は少しも無い。
ただ流される様に、セレスの言った通りにグレノアを目指していた。
無言のまま休む事もせずに歩き続ける俺の姿に……二人が時折悲しそうな顔をする。
その二人の姿に、訳も分からずイライラした。
まるで腫れ物でも扱う様な二人の態度が、余計に俺を虚しくさせる。
……どうして俺なんだ。
……どうしてこんな事になったんだ。
……どうして。
いつの間にかその言葉だけが頭の中を廻っていた。
(……ロイ……待ってる)
セリアの最後の呟き。
……セリア。
世界創世の女神。
世界を滅ぼす存在。
愛しいモノ。
眩しい天使の様な笑顔。
繋いだ手。
抱き締めた温もり。
流れた涙。
いつの間にか足が止まっていた。
木々の囁きだけが、静かな森に響いている。