ぼくと世界とキミ

目を覚ました場所に戻ると、二人はまだ眠っていた。

スゥスゥと寝息を立てて静かに眠っている。

……昨日遅くまで付き合わせちゃったからな。

少し疲れている様に見える二人の寝顔を見つめたまま、そっと心の中で感謝し二人の横に腰を下ろした。

そっと空を見上げると、木々の隙間から眩しい太陽が見えた。

時折優しく風が吹き森の木々を揺らし、鳥達の歌声が木々の囁きと川の流れとの絶妙なハーモニーを奏でている。

……綺麗だ。

こんな世界が崩壊に向かっている。

セリアの愛した世界。

俺は世界を救いたい。

でもそのかわりにセリアを失う。

でもセリアを殺さなければ、世界は終わり全てを失う。

様々な考えが頭の中を廻り、そしてたった一つの選びようのない結論へと俺を導く。

……選ぶ道は……一つしかない。

「……セリア」

そっと愛しい彼女の名を呼ぶ。

するとそれに答えるかの様にどこからか風が吹き、俺の体を優しく撫ぜる。

その風に彼女を感じた様な気がして、そっと風の囁きへと耳を澄ませた。

俺は……セリアを愛している。

何よりも大切なモノ。

だから……俺は罪を背負おう。





……キミの愛した世界を守るために。
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