ぼくと世界とキミ

    *

窓から外を見ると黒い雲が空を覆っていくのが見えた。

「……世界の終りか」

そう小さく呟き自嘲気味に笑うと、グラスのワインに口を付けた。

それと同時にあの少女の姿が頭を過り、その遠い記憶を呼び覚ます様に静かに目を閉じる。

……哀れな女だ。

静かに目を閉じたまま……初めてあの《女神》に出会った時の事を思い出す。
< 311 / 347 >

この作品をシェア

pagetop