ぼくと世界とキミ
「ねぇルーク。貴方はこの世界を……どう思う?」
少女はそう小さく呟くと、俯いたまま俺の返事を待っている。
「愚かで……汚れた世界だ」
思った事を素直に言うと、少女は悲しそうに表情を曇らせ小さく頷く。
「私も……そう思う」
震える声でそう呟いた少女は、今にも消えてしまいそうな程に弱く、儚く見えた。
「ごめんね……ルーク」
突然謝り出した少女の意図が見えず首を傾げて見せると、少女はそっと顔を上げ俺を見つめた。
「貴方に……嫌な役をやらせてしまったから」
その思ってもいなかった少女の言葉に、ほんの少し目を見開く。
「俺を止めに来たのではないのか?」
その言葉にまた女は苦しそうに顔を顰めると、そっと俺から視線を外した。
「私は……この世界を愛してるの。この世界に生きる全てが私にとって子供の様なもの。それは人も……魔物も変わらない」
そう言って女は愛しむ様に世界樹に手を触れた。
「だから私は……貴方の考えが間違ってるなんて言わない」
女の少し緑がかった不思議な瞳が真っ直ぐに俺へと向けられる。
「……謝りたかったの。もう会う事はできないから」
その女の呟きの意味が……なぜか俺には理解する事が出来てしまった。