ぼくと世界とキミ
「何の用だ?」
ジルが睨みながら問い掛けると、ノヴァがふてくされた様に大きなため息を吐いた。
「ルークがロイ達を迎えに行けって言ったんだ。だから迎えにきたの」
そう言ってノヴァが拗ねる様に口を尖らせると、はぁっと深いため息を吐く。
「ルークが?」
……どうして。
「世界の崩壊がもう近いからだよ。世界が無くなっちゃったら、僕達のしている事は……何の意味も無いから」
俺の考えが分かるかのようにノヴァはそう答えると、赤い瞳を切なそうに揺らして俺を見つめた。
そのノヴァの答えに、全てを理解する。
……先に世界を救えって事か。
心の中で小さく呟き自嘲気味に笑って見せると、ノヴァはそれを見て複雑そうな顔をして俺から目を逸らす。
「……勝手だな」
ジルはそう言って嘲笑を浮かべると、冷たい視線をノヴァに向けた。
「なんて言われてもいいよ。僕達だって世界が無くなるのは困るんだ」
ノヴァがジルを真っ直ぐに見つめたままそう答えると、ジルとアシュリーがまた顔を見合わせ小さくため息を吐いた。
「とりあえず乗って。グレノア城まで連れていくから」
ノヴァがそう言うのと同時に、空から二匹の魔物が降りてくる。
大きな鳥の様な二匹の魔物はフワリと地面に降り立つと、《乗れ》と
ばかりに漆黒の翼を開いて地面に伏せた。
「ど、どうする?」
窺うようにジルを見るとジルは少し考える様に俯き……それから小さく頷いた。