ぼくと世界とキミ
「……出来ないのなら世界は滅ぶ事になるな。お前が女神を殺せないと言うのなら……今ここで、俺がお前を殺し世界を終わらせよう。それがせめてもの……《運命》への抗いだ」
そう言うとルークは俺へと向かって剣を振り上げた。
それはあのセレリアで初めて会った《あの時》の様に、まるでそのシーンと重なるかの様に俺の目に映る。
……俺が死ねば世界は終わる。
国も、森も、人間も、魔物も、全部消えて……全てが終わる。
愛しい彼女の手により、全てが壊し尽される。
彼女の愛しい世界が、彼女の生み出したこの美しく残酷な世界が……彼女の手によって壊される。
「……選べ。勇者ロイ。ここで全ての終わりを望むのか……それとも世界を救うのか」
そのルークの呟きと共に漆黒の剣が俺に向かって振り下ろされた。
ただ茫然と迫る剣を見つめ、それから全てを諦めた様に、全てから逃げ出す様に……そっと瞳を閉じた。
その時だった。
《……ロイ……待ってる》
愛しい彼女の囁きがどこかから聞こえた様な気がした。
……そう……俺は約束した。
この《世界》を救って見せると。