ぼくと世界とキミ

カタカタと微かに震える手を……そっと伸ばした。

ルークの手に刻まれた《証》に指先が触れたその瞬間、黒い光が辺りに溢れ、そしてそれは俺の体へと吸い込まれていった。

次々に黒い光が俺の体に吸い込まれ、それと同時に激しい地震が起こる。

激しい揺れはおさまる事は無くガタガタと世界を揺らし続け、どこからか地面の割れる音が聞こえ城壁の崩れる音がした。

……世界の崩壊。

茫然と崩れて行く世界を眺めたまま、俺の体に吸い込まれる《力》を感じた。

……これで俺は力を手にした。

彼女を……世界創世の《女神》を殺せる力を。

全ての黒い光が俺の体に吸い込まれると同時に、辺りが眩い光に照らされた。

『……ロイ』

その眩い光の中から、愛しい彼女の声が聞こえる。

……俺を呼んでいる。

「……セリア」

そう彼女の名前を呟くと同時に、俺の体が一層眩い光に包まれ……そして何も見えなくなった。
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